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パンデミックは歴史の転換点ではない
―― 国際協調とナショナリズム

リチャード・ハース 米外交問題評議会会長

The Pandemic Will Accelerate History Rather Than Reshape It Not Every Crisis Is a Turning Point

Richard Haass 米外交問題評議会会長。ブルッキングス研究所副会長、米国務省政策企画部長などを経て現職。

2020年5月号掲載論文

アメリカのリーダーシップの衰退、形骸化するグローバルレベルでの協調、対決的な大国間関係など、COVID19 が出現する前から存在する国際環境の特質は、パンデミックによって緩和されるどころか、先鋭化し、これらは今後の世界におけるより顕著な特質になっていくだろう。実際、パンデミックに対応する主体は国あるいは地方で、国際社会ではない。そして、危機が終息すれば、焦点は国の復興・再生へと移る。さらに悲観的にならざるを得ない理由の一つは、国際協調でグローバルな課題の多くに対処していくには、大国間の協力が不可欠であるにも関わらず、すでに長期にわたって米中関係が悪化していることだ。現状そして今後にとって、関連性の高い歴史的先例は、戦後に国際協調が進められた第二次世界大戦後ではなく、国際的な混乱が高まりつつも、アメリカが国際的な関与を控えた第一次世界大戦後の時代かもしれない。

  • パンデミックは世界を変えるか
  • ポストアメリカの世界
  • 無秩序な社会
  • さらに大きな混乱

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